2010年12月21日火曜日

亰雜物「二〇〇八年九月の釜、あるいは盃」



祭壇に供えられた無数の茄子 ゴーヤ 西瓜 トマト 南瓜 マスクメロン 絲瓜 馬鈴薯 らが嬉々として踊り狂い 接吻 抱擁 交接のうちにみるみる爛熟 腐敗 溶解 マーブル模様の液状となって白胡麻の山に流れ出す
祭られたホルスタインの半截頭蓋骨が虚ろな右目で微笑する 花器には朝鮮朝顔 
           その頭蓋骨の下にある八六〇〇個の紛争ダイヤモンドが嵌め込まれた重箱に蠟燭の炎が燃え移り 赤い煙と化してゆく……

エレベーターホールに 血腥い臭いが充満する

                 緩む隻眼窩


翌る朝 ニュースは世界中のマッドマネーが蒸発し ヤツメウナギが大移動をはじめたことを一斉に報じた



詩人(36歳)はダダカン師の褌(複製)を避雷針に掲揚する

 
 
 
 
※『紫陽』17号(2009年1月)所収。


※この作品の素となる断章を書いた一ヶ月後にリーマンショックがありました(タイトルを付けたのはリーマンショックの後)。数年来、現代思想やアクティビズムを通じた思索によってネオリベの破綻を予感していたので、予言という訳ではなく偶然的必然といった感じでしょうか。

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