木の支持体に存在が内包する両義性を描く刀川昇平(たちかわしょうへい)さんと、出力した写真に手を加え印象を媒介する"絵"を描く吉野昇平(よしのしょうへい)さんの二人展。
刀川さんはシナベニヤの支持体に珪藻土とアクリル絵の具を混ぜて地塗りをし、その上に植物モチーフの形象を重ねてゆく。手前に浮き出すような葉っぱは植物を直接コピーしたものをシンナープリントで転写したものであるが、絞りを開放したF値の明るい大口径レンズで葉叢にピントを合わせた写真のようにもみえる。
葉、茎、種といった図像と、支持体とのアナロジー、そのイメージの重なりが想像への触媒になる。
それにより、ピントの合っていない、画面深部にある被写体までもが浮き上がってくるのだ。これは"見る"ということにまつわる、さまざまな問題系に私たちを導いてくれるのだが、そのための操作は最小限にとどめられている。
絵のような写真―吉野―と、
写真のような絵―刀川―と、
二人が昇る平らな場所には、ある確かな開かれがあった。
◆橘画廊 9/16~9/21
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