2013年3月12日火曜日

Atelier Ukita (大阪市東成区)

今日は具体美術協会の浮田要三さん(88)のアトリエで、貴重なお話をお伺いしました。詩人・竹中郁(1904-1982)や友原康博さんのことなど・・・。


 

教室に通う生徒さんの作品と浮田さんの作品が混在するアトリエには、幸せな空気がみちています(写真右奥、しましまの服を着ているのが浮田さん)。

 児童詩誌『きりん』(竹中郁・井上靖 監修,1948-1962,尾崎書房)の表紙絵を集めた『「きりん」の絵本』(2008,きりん友の会/ポーラ美術振興財団)。『きりん』の編集には浮田さんの他、足立巻一らも携わり、具体美術協会のメンバーの多くが寄稿や挿絵などで参加しました(表紙の絵は浮田さんが選定)。


2013年3月10日日曜日

「陶芸の提案2013"生命"」より 於、ギャラリー白(大阪・西天満) 

「陶芸の提案2013」のテーマは「生命」。
磁器轆轤によって山から吹き下ろす風を造形する、木野智史さんの「颪」。西洋の基層信仰における四大元素のひとつ"土"によって、別の元素のである"風"を表している。 流転する世界の象徴なのだろうか。

 紡いだ糸で布を織るように土を織る、谷内薫さんのシリーズ。谷内さんが土で表すものは、つねに人である。単独者でありながら複数者でもある、人と人との交わり、その表面にはあらわれない、かすかなしるしを土にきざむ。

増田敏也さんのLow pixel CG。今回はファミコン世代なら誰でも知っているあのゲームのあれ。茶釜ではない。死んだらリセットできるゲームのようにはいかない命。だが失敗してもリセットできない人生はおかしい。ヒゲのおっさんにさんざん踏んづけられ、蹴飛ばされてきたこいつは何を語っているのか。こいつがカメであることの意味は大きく深い。

◆ギャラリー白 2/18~3/2


2013年3月9日土曜日

smart exhibition of works (大阪総合デザイン専門学校2013作品展)於、堂島リバーフォーラム

年若い友人たちが作品を発表するというので覗いてみたら、展示密度の高さ、充満するエネルギーに圧倒されっぱなし・・・。細分化された様々な専攻科の実践的教育水準の高さにも驚かされました。
印象的なものをいくつか。
 ゴヤの名画「我が子を喰らうサトゥルヌス」になぞらえ、「我が身の分身」かもしれないおにぎりを喰らう伊東恭子さんの自画像。

 ミヤザキミホさんの作品。熊のぬいぐるみのような、それでいてどこか官能的なモコモコ。

藤原かなさんの作品。緻密な筆致と画面構成も魅力的ですが、色遣いによって温度の違いや印象の鮮度が描き分けられているところに感心しました。

 退廃的なにおいがする下田直道さんの写真集。
中身はこのような感じ。モデルさんはすべてフィギュアでした。

 絵本専攻のコーナーでは藤長梨紗さんの卒業制作に強く惹かれました。絵も文も装幀も、美事です。
『ジェームズ、海に行こう』。

 個人的にもっとも気に入ったのは、濵田佳子さんのカエル。
オタマジャクシだったころの尻尾が残っていてかわいい。

◆3/8~3/10 堂島リバーフォーラム



大橋範子展「行こう、行こう、LETTING GO.」 於、GALLERY wks.(大阪・西天満)

自分の腕をナイフで切り裂いたり、スズメバチを食べたり、カモを屠ったり、厳冬の雪原で全裸になったりという過激なパフォーマンスでいつも物議を醸してきた大橋範子さんの表現は、(反)芸術極道といいうるなにものかである。
それがとうとう、閾を完全に突き抜けてしまった。

★Phase 1

 電球の熱で焼けたリンゴからは甘い香りがおだやかに漂う。
 クスノキを彫った大女。大橋さんのパフォーマンスにそっくり。
 大橋さんがパフォーマンスに使ったシンバルは誰でも叩くことができる。叩いた人も、周囲の人もみな表情がほころび、晴れやかになる。
 映像インスタレーションより、熊本城にて。
九州のとある街の軍歌バーにて。
92歳のダダカン(糸井貫二)さんとのコラボレーション。

《2/11 オープニング・パフォーマンス 大橋範子&平魚泳(ひらさかなおよぐ)》



★Phase 2
 「社会を方向づけられないアートは、それゆえ社会の核心にある問題を洞察することもできず、結局資本の問題にインパクトを与えられない。そのようなものはアートではない。」
ヨーゼフ・ボイス
 大橋さんの個展開催へのお祝いにダダカンさんから贈られた伊藤博文の旧千円札を、ドラム缶風呂に浮かべている。ご祝儀がすでにしてメールアートなのだから、これは正しい使い方なのだろう。
 大女の顔が彩色され、乳房には小麦粉で膨らみが・・・
ダダカンさんからのメールアート。

《2/23 POEAC.007での大橋さん》


 佐久間新さんがクスノキの大女に匍い登る。
佐久間さんが通過した後の大女。

★Phase 3


《3/2 クロージング・パフォーマンス wks.~大阪高裁》



反原発運動への不当弾圧に対する抗議のパフォーマンス。


突き抜ける。ダダカンさんをはじめ、大橋さんが出会うべくして出会った人々との共同によって、共にあることのよろこびへと。

GALLERY wks. 2/11~3/2

冬耳(ふゆじ)展 「回転」 於、ギャラリーあしやシューレ

 「シロイキ」

「a little forest」

「めぐり逢う時間たち」

陰影も濃淡もない祝祭的な彩りが醸すのは、ぼんやりとした不安さえ催す透き徹ったニヒリズム。荘厳さ。そして超えていく先に仄見えるもの。
ひとつの画面の中で、複数の作品が配される空間の中で、循環する時間の環が幾重にも連なり、接し合う・・・。
彼方からの声にいざなわれるように、何かと何かの間に。

ギャラリーあしやシューレ 2/26~3/17



2013年3月4日月曜日

西村大樹展「昨日とまるで同じ今日」 於、spectrum gallery(大阪・空堀商店街脇)

薬品で腐食させたアルミ板に燃やした写真を貼り付け、絵の具で彩色した小品。このシリーズが過去の風景を閉じ込め過去のままに再帰するためのものであるとしたら、そこから昇華させたタブローは、つねに回帰しつづける時間へのしるべとなる風景を示したものであろう。それはもちろん、未来へも投げられている。日常に覆い被さらんとする虚無感を撥ね除けるために。
どの作品もすべて、作家がそこに身を置いたことのある実景がモチーフになっており、箴言とも俚諺ともつかぬタイトルが付されている。

油絵の具、寒冷紗、石膏などで描いた「昨日とまるで同じ今日」。
絵肌に凝結した無機物の粒子が、無意識裏に記憶を構成するモナドと交感し合うのだろうか。

spectrum gallery 3/1~3/12