2012年7月24日火曜日

Chim↑Pom「LEVEL7 feat. 『明日の神話』」(2011年)

「ひっくりかえる展」にて(ワタリウム美術館)

1945年の広島・長崎の原爆、1954年の第五福竜丸事件をモチーフにした岡本太郎「明日の神話」(1968年/修復後、渋谷駅連絡通路に恒久設置)。

Chim↑Pomは右下のこの余白を、"被爆の過去と被爆の現在をつなぐための場所"と解釈し、
爆発した福島第一原発の絵を嵌め込んだ。




《明日の神話》は、広島・長崎・第五福竜丸という「被爆のクロニクル(年代記)」で構成されています。ただ岡本太郎はそれらをステレオタイプな原爆芸術のように悲惨に描くのではなく、核の凄まじさと人間の生命力を、「同様に爆発的なものとして」混在・対立させていて、善悪やメッセージを超えたエネルギーとして描きました。
2012年(ママ)、くしくも岡本太郎生誕100年という節目の年。皮肉にも第五福竜丸が被爆した太平洋、その沿岸の福島で、被爆の歴史は更新されてしまいました。「美術館は作品の墓場」とも言われますが、《明日の神話》はパブリックアートにこだわった岡本太郎の遺志に基づいて、紆余曲折の末に渋谷駅に来た「生きた芸術」です。それならば「明日の神話」を現在のものとして見なければならない。僕らは壁画の前でそんなことを考えながら、日本の特殊な歴史に思いをはせました。
Chim↑Pom『芸術実行犯』(朝日出版社) より)


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