2013年2月16日土曜日

しまだそう展「明後日の芳香」 於、spectrum gallery(大阪・空堀商店街脇) 

ブラウン管TVのドットを拡大したようなインクジェットプリントは、過去の絵画作品をコラージュしたもの。
そもそもしまださんの絵画は、自身の意識に何かしらの擦過を残し、その後記憶の中で変成されながら定着したイメージをコラージュしているのだから、これらはメタコラージュということになる。マスメディアから受信したものを集積することで作品化したものが、また別のデジタルメディアを通して作品化されたという事実に、強く惹きつけられる。

(これはシルクスクリーンで刷られたもの)

今回の展覧会では、インクジェット、シルクスクリーン以外に、アクリル画、油彩画などまとまった点数の作品が壁を埋め尽くすように集められている。
しまださんはアトリエの引っ越し作業と展覧会準備を同時並行で進め、展覧会前日に引っ越しが完了し、無事初日を迎えるというスリリングな日々を駆け抜けた。
そうした極度の緊張状態を経ることで、それ自体がカオスである一枚一枚を適所に配し、美事なコスモスを実現させることに成功したのだろう。
その光景が鑑賞者の無意識へと浸透していくカオスモーズを実感できるのは、大いなるよろこびである。

spectrum gallery 2/15~2/26

※カオスモーズchaosmose・・・「カオス(混沌)」、「コスモス(秩序)」、「オスモーズ(浸透)」の3語を組み合わせたフェリックス・ガタリによる術語で、カオスとコスモスが未来へ向けて無意識裏に浸透していくイメージを表す。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。