この展覧会で並べられた作品は、作家が現在住んでいる家に以前の住人一家が残していったスナップ写真をアクリル画にしたもの。
一見、なんの変哲もない絵にしか見えないが、よくみるとなにかおかしい。例えば、表情が妙だったり、写実絵画の空間秩序が乱れていたり・・・。おかしいとさえ思わなければおかしくもない絵かもしれないが、やはりどこかさりげない"改ざん"がなされているのではないかと疑いたくなる。描くときに感情移入がなされているようにも思えない。
また、"My Friends"のようにどの作品にもタイトルが付されているのだが、これはすべてディレマスさんの想像に基づいたものである。そしてモチーフとなった写真を直接みることができない私たちにとって、ディレマスさんがどの程度写真を"改ざん"しているのか、いないのかは結局のところ不明なのだ。
見ず知らずの家族のスナップを、他人がどのようにまなざすのか? そして作家の営為を鑑賞者はどこまで信頼できるのか?
まったき他者との距離を、人はどのように測ることができるのかが問われているように思える。
◆
Zone 4/13~4/25
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。