大量に並べられた「orz」型のオブジェは粘土を焼いて作られたもので、形や色、どれ一つとして同じものはなく、それはそのまま人の個性の喩となっている。ある「聖地」の土が練り込まれているそうな。
奥に立てられたベニヤ板のパネルの裏側には、陸上のトラック競技に使われるスターティングブロックが設置されているのだが、ここに足をかけて顔の前の小穴から外を覗いてみるとこの作品の印象が反転するという仕掛け。何がどう反転するのかは、体験してみるにしくはない。
ベニヤ板の裏側から見た光景。
これはイスラムの礼拝を思わせる光景である。
イスラムは神と人間とが一対一で向き合うことを通じて、自己の内面と向き合う宗教であるが、佐川さんもまた、今や得体の知れぬ神と化した資本主義に傷つき塗れながらも向き合うことで、自己の内面と向き合っておられる。そのアナロジーがまた興味深い。
それにしても、このorz、クッキーなどの焼き菓子に見えて仕方がなかった。美味しそうなのである。ふむ。型抜きして焼く、という点ではクッキーと同じではないか。
◆GALLERY wks. 2012.4.9~4.21
(撮影:片山和彦さん)
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