ここにあるのは麻布を漆で張り重ねたり、木粉と漆を混ぜたものを盛って造形する乾漆という技法※によって制作された立像ばかり。高価な漆をふんだんに使い、長い時間と膨大な労力をかけて1体の像が仕上げられる。
何かへの入り口で、門番のように佇む像たち。どこへ通じているのか分からぬこれらの門は、誰かのためにしつらえられたように見え、その実、この前で立ちすくむ、ほかならぬ私に対して開かれたものに思えてくる。
カフカが著した「掟の門」のように。
その場所は、夢と現、意識と無意識、此岸と彼岸のあわいにあるのだろうか。
◆GALLERY wks. 3/11~3/30
※中国に起源を持ち、7世紀末~9世紀初頭にかけて日本で多用された彫像製作技法。東大寺三月堂の諸仏や興福寺の八部衆像などが有名。
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。