無賞、無審査、無資格のアンデパンダン展(アンパン)の第二弾は立体作品展。
ミヤザキプールさん「糸出てるよTシャツ」は一見、何の変哲もないユニクロの白Tシャツ。しかし裾からは赤い糸が一本ひょろり。裾をめくると好青年が。赤い糸は小指に繋がっていたのでした。
フロアのほぼ中央、上瀬留衣さん「提案-誕生006」。あの5月の、この同じ場所に出現したビジュアルショックを思い出させる赤いプール。→http://zatsuzatsukyoyasai.blogspot.jp/2012/05/living-sculpture-gallery-wks.html
水面にたくさん浮いている黒髪美人は上瀬さんご本人。
福田真知さん「いわくも -001」。カミ(紙-上-神?)をちぎり、ねじり、複雑にはりつけて造られた雲のようなもの。
「いわくも -001」の隣には漆芸家・亀谷彩さんの「トリノクラ」。塔の壁面?には雷模様が・・・。この作品の台座の下にも作品がある。
ヤマダヒデキさん「青空の味 Taste of summer」。黄色いコップをひっくり返したら、空が滴り落ちてきた、ような・・・。
どっかで聞いたことのあるモノスゴイ叫び声が響いてくるなと思ったら、京都三条河原での大橋範子さんのパフォーマンス映像が。「原発絶対反対 よくなれ地球」と絶叫。
田中加織さんの飴みたいな「水石」。左から二番目のは富士山に見立てたもの。
かのうたかおさんの陶芸作品「掌中天アリ」。眺めていると、今自分が属している時空との整合性が解体されるほどまでに意識が吸い込まれていく。この裂け目の中に。実に深い。
かのうさんについては並木清貴さんが素晴らしいレヴューを書いているのでそちらをどうぞ。
→http://den393.blog81.fc2.com/blog-entry-762.html
木っ端の上に石が乗っかっているようなワタナベさんの「へイハチ ヲ マネル」。樟を彫りだしたものだそう。台座の端にピンクの「さわっていいよ」マークがついているので、これを持ち上げると中からヘンなものが・・・。目を疑うばかりの超絶技巧に唖然。
千光士誠さん「阿吽」。
福永宙さん「Step Foward」。青赤メガネを使って立体化する宙さんの肖像。だがそう簡単には(?)結像しないという代物。
なんだかイヤラシイ突起物が壁から突きだした山岡敏明さんの「A Point of GUTIC2012」。これも触っていい作品。
伊東恭子さんの「今日もこんなことを繰り返す」。破片化した飴みたいなものが詰まっている。「こんなこと」ってどんなこと?
倉庫の把手には「Please Pull.」と書いた札。この奥には鬼村克哉さんの「住みたくない街」なる不思議なジオラマ状の作品。
賀川剣史さん「祝い豚」を写真に撮ろうと思ったら、出展作家の西村有理さんが自分の作品の中から婆さんの人形を一体もってきてアニメを撮影していた。逃げまどう仔豚さんをおわえまわす老婆の物語か。他人の作品でなんてことを・・・
撮影する西村有理さん(左)。それにしても美事なコラボになっている。
出来上がったアニメはこれ。
ファインダーの外に出され一箇所に集められた豚さんは、さながら福島での餓死や、宮崎での殺処分を思わせる不気味さ。
「・・・晩夏の蝉殻に像、残す/ロマンポルノの乾いた、響き/夏の湿った指は乾いてしまった、のか。」という詩が添えられた塚本佳紹さん「セミの映像」。この8ミリ映写機のレンズを覗いてスイッチを押せば、レトロなポルノ映画が流れる仕掛け。
おや?
「どくいりきけん」と書かれたくしゃくしゃの紙が貼られたヘンな容器がおいてある。昔のメロンシャーベットのメロンをミカンにしたような。フタをあけると極めてワイセツなもの(ロマンポルノの比ではない!)が入っていたのだが、wks.オーナーの片山さんによると、これはいつの間にか何者かが置いていったものらしい。
このようなハプニングがみられるのもアンデパンダン展ならではの醍醐味といえば醍醐味であろう。
作家と作品の数だけ存在する、無限へと開かれた世界観の象徴物が、ひとつの空間に共在する小宇宙、としてのホワイトキューブ。
wks.祭/立体展は間主観性の現象学をそのまま空間に視覚化させたようなものである、とひとまずは言ってみたいのだが、そんなコムズカシイことはどうでもいいほどにアートと戯れる楽しみを満喫できる展覧会である。
◆GALLERY wks. 9/2~9/22
田中加織 / コタニカオリ / オオモリヨシエ / 山本朱 / 梶川能一 / フルタミチエ / 大橋範子 / 木内貴志 / 賀川剣史 / 安藤吉準 / ミヤザキプール / 西村有理 / たなかさく / ヤマダヒデキ / ムラギしマナヴ / かまぼこムーブセンター( 小池芽栄子・荻野ちよ・土橋良一) /
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