七つの断片とともに
箱のなかの夜曲 腰かけるワルツ
音楽は人懐っこい家具!
手足に触れるすべての音が
天体の近くへ引越すという
夢!
ひらかれた箱が仮りの宿
永遠の花文字を看板に
ホテルこそは岸辺の鏡
錆びた姿見の行方を追う
もうひとりの旅人。
エミリーは留守?
朽ちた空き家に碧い忘れもの
天空からの沈黙の言伝てを
無垢の鳥たちはいま・・・・・・
不在の巣箱 時を忘れる白
虚ろな円形窓は地球の消息か
運命の幼虫を飼う夢の窓々に似る
人と希望を頒かち合った
鳩族はいま・・・・・・
蝶とおうむは隣り合う
無心の鏡が栖
遠い故国の色彩をなつかしむ
危機を孕らむ純無垢
の一刻。
剥がされ色褪せるときの永遠
消しながらの追憶
隔たりながら近づく
遺跡の媚笑すら・・・・・・
むかしむかし或るところに
砂・・・・・・
あとの言葉は風のなか
水よりも人の手に馴染み
泉よりも無口な時を刻む。
※瀧口修造『白と黒の断想』(2011.3,幻戯書房)所収〔初出:雅陶堂ギャラリー「JOSEPH CORNEL展カタログ」1978.3〕。
コーネルの作品集。BGMはヨーゼフ・ボイス。
おまけ
ジョゼフ・コーネルと草間彌生、1962年(『pen』[No.260,2010.1,阪急コミュニケーションズ]より)
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