2012年11月28日水曜日

落合風景 瀧口修造夫妻が愛でた枝垂れ桜(西落合)


詩人・美術評論家の瀧口修造(1903-1979)が自宅庭で生ったオリーブの実を親しい友人たちに瓶詰めにして贈っていたことは、日本美術史の1頁に刻まれるべき有名なエピソードである。
(上掲2枚の写真は『別冊太陽』382号「特集:瀧口修造のミクロコスモス」〔1993年,平凡社〕より)

蔵書も夢日記もすべて戦災で失った瀧口は、戦後8年間の間借り生活を経て1953年(昭和28)、住宅金融公庫を利用して西落合のこの地に小住宅を新築した。
その西落合も今や都内有数の高級住宅街。
瀧口の自宅があった場所は今、敷地一杯に建てられた他人の邸宅になっており(写真左側の赤レンガの家)、名高いオリーブの木はもうそこにはない。
ただ、瀧口夫妻が毎春愛でていたという隣家の枝垂れ桜だけが往時を偲ぶよすがである。


※この枝垂れ桜が咲いた様子は、旧瀧口邸の現在を探訪した中村惠一さんのブログにでている。



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