NPO法人J-heritageの幹部であるドイテフさんの個展は、命懸けで(比喩ではない!)撮影した近現代産業遺跡・廃墟の写真、廃墟化した限界集落で撮影したポートレイト、そして産業遺産や廃墟を擬人化した二次元キャラクター作品から構成されている。
ここではポートレイト作品のひとつを紹介するにとどめておこう。
この写真の舞台は瀬戸内海のとある離島。
数えるほどの高齢者世帯しか残っていない、限界集落。
平坦地の少ないこの島では、坂道を上に行けば行くほど廃屋や草むした更地が目立つという。
セーラー服を着たモデルの女性が顔を覆う文庫本は、文学好きなら誰もがその装幀を一瞥しただけでそれと分かる、あの作家の、あの耽美的小説である。
ところで、廃墟が催す美意識とは、概ね記憶や物語に関わるものである。
あえて本質主義的な物言いをするならば、それらは日本的な美意識と容易にオーバーラップするといってもいい。
この、モナドが共鳴し合うような効果には唸らされた。
◆ギャラリー1 6/13~6/25
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