2012年6月14日木曜日

やまもとひさよ写真展「大川さん」 於、Port Gallery T (大阪・京町堀)





やまもとひさよさんといえば、自身の内面にあるコンプレックスをテーマに、金髪のカツラを被り泡風呂の中でエディット・ピアフの著名な楽曲をたからかに、そして調子っ外れに歌った映像作品"La Vie en rose"(映像コテンパンダン展2011)が強い印象を残しているが、今回の写真展のタイトルは「大川さん」である。
しかし、大川さんとはいかなる人物なのか、あるいは非人物なのか、作品からは何も手がかりが得られない(ように私にはみえた)。作家も語ってはくれない。
火で炙ったり、破いたりした、戯画的な写真の大半は作家自身が被写体となっている(ように私にはみえた)。すると、制作の動機やテーマはやはり一貫している(ように思える)。
吃音や訥弁、沈黙によってしか示しえないものを、潔さと不安との揺らぎの中で、(自覚のないままであっても)どうにか示そうという意志がたしかに存在している。

Port Gallery T 6/11~6/16

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。