2013年5月27日月曜日

"Ceramic Site 2013"より 於、ギャラリー白(大阪・西天満)

八木一夫ら京都の前衛陶芸家集団「走泥社(そうでいしゃ)」によって開拓された「現代陶芸」とよばれる分野は、伝統陶芸からは異端と見做され、さらには現代美術の立体分野からも異端と見做されてきた歴史があるという。
この展覧会は、「伝統」「現代」「陶芸」「美術」といったなにかを画する言葉にまとわりつくものから、相対的な距離を探りつつそれぞれに独自の表現を追求し、あるまとまりをもった分野を構築してきた17人の現代陶芸作家たち(40代、50代が中心)によるグループ展である。
その中でも以前から注視しているかのうたかおさん(1974年生)の作品に、やはり射止められることになった。

かのうさんによるシリーズ、「壺中天アリ」は実用品としての器ではない。壺にして壺にあらず。
このシリーズは耐火レンガの粉末(シャモット)を長石で焼き固めた白い素地と大きな裂け目が、〈世界の無限〉〈存在者の有限〉といった存在をめぐる思索へと誘引してくれるのだが、今回出展されたのは釉薬で色を着けた小品である。
これを眺めていると、ここに着けられた色というのが「壺中天アリ」を見る鑑賞者一人ひとりが見ている"見え方"それ自体を表しているように解せられた。もちろん、そのように解釈する私もまた勝手な色を着けて見ているのだが・・・。

ギャラリー白 "Ceramic Site 2013" 5/20~6/1 
【出展者】 粟田 尚子・大原 千尋・かのう たかお・川越里美・清水 六兵衞・國方 善博・小海 滝久・小松 純・重松あゆみ・杉山泰平・須浜 智子・堤展子・西村 充・長谷川 直人・堀野利久・前田晶子・南野 馨 【テキスト】平井章一

2013年5月20日月曜日

安藤栄作「やおよろず会議」 於、ギャラリーメゾンダール(大阪・靱本町)

大地が育んだ樹木との交わりによって召喚されたのは、なんとも不思議な神様たち。一神教ですらない、神なき宗教としての資本主義が暴威をふるう世界の危機に、異議を唱えるために集まったのであろう。
"デモムシ" 鳴き声は「ゲンパツイラナイ・・・」。
 "背中草原" 心優しき草原の守り神。
 ガスコンロの魚焼きグリルの中でくつろぐ"さかなもどき"。くつろぎを妨げられると威嚇してくるらしい。
妖精のような妖怪のような、ひょうきんな神様たちにまざって普通のネコが一匹。
なるほど、ネコは存在それ自体が妖精のようなものである。
ネコが遊ぶとき、人間が設えたモノやコト、あるいは想定された価値や目的などいとも簡単に越境したり、転位したり、無力化したりする。


ギャラリーメゾンダール 5/16~5/26 12:00-19:00(最終日は16:00まで)



ギャラリーあしやシューレでの個展(2012.6)の様子はこちら↓
http://zatsuzatsukyoyasai.blogspot.jp/2012/06/blog-post_24.html