繋縛は「けいばく」と訓むのだろう。
緊縛ではないが、似ていなくもない。繋(つながり)と縛(しばり)と、それぞれを分けてみれば、一見対照的な字義の奥にある両義性や親近性から、様々な類推が浮かび上がるだろう。
横並びの五体の影像は、頭がないのではない。あるにはあるのだが、黒い帯状の闇に五体とも浸っているのだ。
だらりとした両腕は指先まで溶け出すように弛緩していながら、両足はしっかりと足指で地を踏みしめ、正面を向いている。
この初個展に併せてつくられた和綴じの『有本健司詩集』。
ときおり、助辞(助詞)によって継がれる自立語や文節そのものがまるごと欠落したまま詩行が進められる、その語法が絵画との間に複線的な関係の結ばれを示唆しているようで、興味深い。
詩集を読み進めていると、展示作品との関連を思わせる詩行に出会うこともある。
絵画と言語の表面から受ける印象としての不安や揺らぎとは裏腹に、造形芸術と言語芸術とが相関してあること、両者が実存の源を同じくしてあることへの確信が窺われる。
◆SANSEIDO GALLERY 1/30~2/18