2013年2月14日木曜日

児玉真人展「count down」 於、Gallery E.R.I.(奈良・生駒)

身のまわりにありふれたモノや生物の一部を型どりし、鋳つぶした活字合金で鋳造した「キヲク」シリーズ(手前から右奥へ、牛の脊椎、オチャノミ、落花生、アサリ)。
 アームスタンドに、"生きた化石"ともよばれるオウムガイの殻をとりつけた「ヒカリノタビ」。
「internal-external(オウムガイレコード)」。
LP用の33回転、シングルレコード用の45回転に加え、1960年頃まで販売されていたSP盤78回転モードまでついているビクター社製の古いポータブルレコードプレーヤーに、オウムガイの断面図を象った真鍮製の渦巻きオブジェを載せて回転させる。
しかし真鍮オブジェそれ自体は時計回りに回転しているものの、オブジェが表象するオウムガイの殻が渦巻く方向とは回転が逆になっている。
このように順回転するプレーヤーの上で逆回転する渦巻きを眺めていると、いったんノスタルジーへと遡行的に誘われた意識が、象徴物によって押し返されるかのような気分に囚われる。そのアナクロニズムこそが、この作品のあじわいであるように思われた。

その他、1855年に地球の自転を証明した"フーコーの振り子"を思わせる「クサリ・キヲク」、海辺に漂着した発泡セメントを載せた「finder」など、時間や記憶の象徴を深い思索の上に結晶化した立体作品が多数展示されている。

Gallery E.R.I. 2/5~2/17
(池田友里さんによるキュレーション)


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