黒電話、壁掛け時計、ミヒャエル・エンデ『はてしない物語』、ピアノの鍵盤、ダイヤル式の錠前、羽根付のボルト、それぞれが別個に、あるリズムをもって動くオブジェの映像を組み合わせたインスタレーションである。
オブジェの動作に音声がともなっているからだろうか、一見したところそれぞれの映像同士の間には規則性があるように見受けられ、そのような期待のもとに見入ってしまうのだが、実のところないことがわかってくる。
ないのだけれども、ひとつひとつは規則的な動きをもって反復しているので、無秩序的でありながらも、明らかに調和性をもった秩序が立ち現れる。ないのにある、なにかが。
すると、たとえば鍵盤と『はてしない物語』とが、あるいは時計の針と黒電話のダイヤルとが、相似形をなしていることにも意識は赴いてゆく。
"strata(ストラータ)"とは、stratum(層、地層)の複数形で具体的なモノとしての層、抽象的な意味での層、双方の意味をもつ、とのことだ。
◆SUNABA GALLERY 2015.6.6-6.17
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