2018年1月28日日曜日

『アトリヱ』7巻1号「超現実主義研究号」(1930年1月)での有島生馬の言葉


「○ 有島生馬 /シュールレアリスムの代表的見本と見られるべき作品は、まだ日本に表れて来てゐません。然し日本画なるものは大体がシュールレアリスムの傾向をもつものですから、日本人にとってこれは立体派などより、適した性質のものと思はれます。」
(記事「超現実主義批判」より)

「日本画なるものは大体がシュールレアリスムの傾向をもつもの」とはとてもユニークな見解である。今、日本画の実作者でシュルレアリスムの傾向をもつ人といえば三瀬夏之介さんや松平莉奈さんはじめ、枚挙に遑がないというか有島のいうことが今まさに21世紀の日本画に当てはまりうるのではないか、と思えてきた。
但し、21世紀の日本画は形式的にそうである、デュシャンやアブストラクトと並んで現代美術を条件付けるものとしてのシュルレアリスムという観点からみればという話なので、実作者当人それぞれの自覚の有無はさておいても、思想的な強度というところを指標にするならば、また違った見え方はするのだが。
もちろん、有島が生きた時代の日本画は形式的にシュルレアリスム的なものは僅少だったはずだから、彼はある本質的ななにかを見抜いていたのだろう。

形式はともかく、誰かから贈与された痙攣が、制作という営為、結晶した作品を通じて見知らぬ誰かへと受け渡される回路のなかに、大切なものがあるはずである。




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