2010年6月13日日曜日

佐藤駿司「呪詛黰髪血蓮祭文(のろいのくろかみちのはすさいもん)」

1 夜もすがら血の花笑う夢みつつ妹の墓堀り起こしにゆく

2 聖母(はは)殺す夜に魔羅だちこの世にはただ我ひとり花吹雪かな

3 血の画筆(ふで)で首吊る妹描きつつ地獄の夢を夢見みる我は

4 妹の屍鞭打つ夜は明け永遠(とわ)に花弁の散り饐(す)えるかな

5 幾晩も強姦(おか)されつづけし屍妹の黒髪の艶よみがえるとき

6 子のゆえに物狂いすというけれどママは私をどこ捨てに行く

7 光降る月の下にてわが聖母(はは)は髑髏ならべて弾琴しをり

8 産み落とす死児をうずめし塚の上(へ)に名も知らぬ花一痕の月

9 梟首さる乙女舞ひける星月夜漬(さや)けくもあるか亡者這ふ道


◆『紫陽』21号(2010.5)より。佐藤駿司さんは小説の同人誌『半獣神』などで活躍する小説家ですが、ポーやボードレールの訳詩集を私家版で出されたりもしています。ここでは30首からなる連作短歌「呪詛黰髪血蓮祭文(のろいのくろかみちのはすさいもん)」から最初の9首をピックアップしてみました。時に佐藤さんのような異能の表現者と出会えるのも『紫陽』をやっているたのしみの一つです。

それで、ダダカン(糸井貫二)先生から早速この作品を賞賛するメールアートが届きました!






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