2014年3月10日月曜日

『飛鳥古跡考』(1751年)



久しぶりに『飛鳥古跡考』(宝暦元年〔1751〕刊,著者不詳)を開いてみる。

手元にあるのは1977年に豊住書店が『大和名所記(和州旧跡幽考)』と併せて一冊本として刊行した翻刻版。

このページの左端から酒船石(さかふねいし/万葉文化館すぐ南の丘の竹藪にある)についての記述が始まる。

「村ヨリ三町艮(うしとら) 
一酒船石 長二間横五尺三寸。飛鳥由来記にニは酒谷山、鳥形山の南半町、山の峰に大石有。上に大壺を掘、これより溝あり、上の壺に濁酒を盛て下へ流し、清して神酒となし飛鳥社へ供ふ。これ和国か清酒の始なりといふ。」

酒船石は斉明天皇(在位655-661年)による飛鳥再開発(大土木工事)の際の遺物であることは周辺の遺跡の年代からして間違いなさそうだが、これがなんのためのものなのかは依然謎のままである。

「飛鳥古跡考」が伝える清酒起源譚の正否はともかく、飛鳥の石造遺物が時の人々の想像力を触発した力には崇高なものを感じる。



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