うつくしい燈のある風が
樹の葉を灼きつくす
夜の巨大な蝶番いが
お前の若さを揺るがす
石花石膏の夜
不滅の若さが翅のように
閉じそして開く
夢がとどろき
星の均衡が小枝から失われた
(『瀧口修造の詩的実験1927-1937』所収、1967、思潮社/初出は詩画集『妖精の距離』1937)
あるとき「おふでさき」のように意識に降下してきたヴィジョンを書き留め、一気に詩作品に仕上げたその中に、「蝶番」という詩語が入っていた。
そのときから10年あまり遡った日に読んだはずのこの詩が、無意識の領野に居場所を定めていたのだろうか。瀧口のこの大部な詩集を最初から最後まで通読したのはその一度きりで、以後は目当ての詩だけを鑑賞したり、そこはかとなくめくったページの詩を読むばかりだったのだが、2017年9月の今日までこの詩のことは記憶から消えていた・・・。
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