2010年9月21日火曜日

マフムード・ダルウィーシュの長篇詩「壁に描く」の一節 (1)

緑なり、わが詩の大地は緑にして。
時代から時代へと抒情詩人が豊穣のままに運んできた。
わたしが教えられたのは、
水鏡に映る像を見つめるナルシス、
その像の同義語の鮮やかな陰影と、
意味の正確さ。
わたしが詩に負うのは 夜の屋根のうえの預言者たちの言葉の類似。
わたしが詩に負うのは 伝説と現実を嘲って
丘に置き去りにされた知恵ある驢馬。



◆マフムード・ダルウィーシュ『壁に描く』(四方田犬彦訳,2006年,書肆山田)91頁。

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