2013年1月24日木曜日

「胎内巡りと画賊たち ~新春 真っ暗闇の大物産展」の様子 於、京都伝統工芸館

胎内巡りとは寺院本尊の周囲の暗い通路や仏像の胎内、あるいは自然洞窟を仏の胎内に見立てて手探りでくぐり抜けるという、輪廻転生の信仰による民間習俗である。神道における禊祓(みそぎはらい)に由来する行法ともいわれるが、のちにある種のアトラクション的なものになった。胎内くぐり、とも。
 入り口。「窮地」と書かれた表札(木内さんのことか?)。ガラス戸の向こうにはオレンジ色の透ける影像がみえる(天野萌さんの作品)。この奥の暗闇の中を、灯火を手に巡回する。
 最初にみつけたのは木村了子さんの描く色男。
 ・・・
 ・・・
 ・・・! 
 !!
 !?!?!? 「私の男体盛り料理」と! これも木村了子さん。
これは漁網か? はたまた緊縛用の縄か・・・

暗闇をぬけると「新しい物産展」が目の前にさっとひろがる。
ここは伝統的な民芸品をモチーフにしたオリジナル民芸品と絵画やオブジェの見本市。しかし、キャプションはおろか、どれが誰の何という作品なのか、ほとんどなにも明示されていない。
この雑然とした雰囲気は、不思議と落ち着くものである。得も言われぬ不安(みたいなもの)を一瞬催した気もするが、たぶん気のせいであろう。

松ぼっくりで作ったカメ。誰の作品なのかわからないが、そんなことはどうでもいいと言われればどうでもいいような気分になる。

集団「画賊」の首領、玉野大介さん制作のオブジェ。「本来無一物」と書いてある。これはなにやらのゲーム盤らしいが、遊びかたを説明してもらうのを失念してしまった。脇にはネズミ男に扮する木内貴志さんの肖像が描かれた名刺が置かれているが、木内さん曰く、「無断でつくられた」とのこと。

 
以上、二枚は中田いくみさんの作品。この顔、この目・・・。

旧約聖書『創世記』、ノアの方舟とバベルの塔を思わせる、吉田和夏さん「名前のない塚 ~原始的な動力」。語られないままに亡くなってゆく命への想いが込められている。

おなじく吉田和夏さん「名前のない塚 ~トリケラ草群生地」。廃棄物の盛り土の上に築かれた塚。文明の廃物で汚染された土からは、白亜紀の末期、地球上に生息していた草食恐竜・トリケラトプスの頭部を象った花が咲く。

木内貴志さん「KUMIKOと貝殻と私」。「KUMIKO(久美子)」というのはもちろん、あの武田さんのことである。後光が石油メジャー、ロイヤル・ダッチ・シェルのマークというのはいかにもマヌケではあるが、世界中で資源収奪をめぐる争いが過酷化している昨今の情勢を思うと不気味としかいいようがない。


◆グループ展「胎内巡りと画賊たち ~新春 真っ暗闇の大物産展~」 1/10~1/20 
参加作家: 玉野大介、中田いくみ、橋口優、前田ビバリー、maggie、吉田和香 〔以上、集団「画賊」メンバー〕
天野萌、木内貴志、木村了子(ゲスト作家)、momo(岡山泰士+森田修平)、〔以上、胎内巡り制作〕




0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。