すべてが記号に換言される寒い部屋で
長ネギを抱きしめている男は
その日、タヌキのように外に出る
おーーーーーーーーーーーーーーーい
と叫びながら走り出す
奈良公園を横切り
ありがたい御姿を拝みに集う大衆(マス)をかきわけ
にこにこと手をふる君が夜ギツネになる瞬間
汗をふりまいておどる
ふるえるちんちん
しわくちゃのおふくろ
ほっかほっかのおまんじゅう
すべてが光のもとで根を這わせ
ひとりが黒い太陽に全裸で走る
まぼろしの川に飛び込むもよし
せんとくんを洗濯せんとくんもよし
駅前でビールを飲んでK察官にかんちょーきめるもあおによし
ああ きもちがええぞい
なあ きもちがええでい
寒い部屋から出る男はそう言って笑う
※『紫陽』19号(2009年9月)より。
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