2010年4月23日金曜日

松本哉「詩」



松本哉「詩」(『紫陽』13号〔2007年9月〕所収)。


「革命家・松本哉の「詩」なるアジテーションは、見えにくくされてしまった、奪うものと奪われるものの関係こそが怒りの向かうべき方向であることを、重苦しい気分を吹き飛ばすやり方で明らかにした。だが読者の間には、この「詩」が詩でないとする意見も少数ながらあった。また松本哉本人も詩なのかどうかよく分かっていない様子だった。しかし編集人としてはこれは詩以外の何物でもない、とひとまずは言っておこう。なぜなら、本当に金持ちを袋叩きにするわけでもなければベンツを燃やすわけでもないからだ(むしろ金持ちは心にゆとりがあるのでいい人が多く、逆に貧乏人は心にゆとりがないという悲しい現実もある)。だが、これが詩であるのかないのかなどはどうでもよいことだともまた言えるのだ。松本哉の「詩」は情動を解放し、読んだ者の前には、怒りを言葉にすることで開かれた地平が確かに広がっているからである。これは、言葉に内在する革命的機能をスレートに表した好事例なのだ。 〈K〉」(『紫陽』14号〔2008年1月〕編集後記より)


★松本哉(まつもとはじめ)・・・1974年東京の下町生まれ。全日本貧乏学生総連合(全貧連)元委員長、貧乏人大反乱集団総帥、高円寺ニート組合代表、高円寺一揆、リサイクルショップ「素人の乱」5号店店長。「PSE法反対デモ」「家賃廃止要求モ」「俺の自転車を返せ!デモ(「迷惑」と称して自転車を撤去し返してもらうのに現金を要求する行政に批判するデモ)」などで芸術家たちから「デモをアートに変えた」と絶賛される。著書、メディア露出多数。永井荷風研究などで有名な作家・文学者の故・松本哉氏は実父(ただしこちらは筆名)。

詩的レトリックなど微塵もないのに凄まじい力をもつ松本哉の「詩」は、詩壇を揺るがしただけでなく、オルタ界ではすでに伝説化しています。しかし『紫陽』13号は好評につき発行から三ヶ月ほどで完売してしまったため、各方面から入手不可を残念がる声を多数いただいていました。なのでここで改めて紹介したというわけです。

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