啓示というほど大層なものではない、降ってくるマヌケな言葉のオートマティスムによって、一見非現実的なイメージの火花に笑いがこぼれるのは必定ともいえる。
ところがその笑いの意味を理性的に解きほぐした瞬間、恐るべきリアルに直面する点で、すぐれたシュルレアリスムの実践ともいえるのだが、辺口本人が自身の詩法についてそんな自覚をもっているかどうかは謎だし、そのような説明が無効となる作品も少なくない。
なにより、分析的な読解などになずんでいるあいだに取り残されてしまうだろう(何に何が取り残されるのだ?)。
言葉はすべて等身大。
ビートニクのエートスと、猥雑にして誠実な抒情、そして寓意的な物語が其処彼処に現れるアナーキー。
詩人・辺口芳典の、写真家としての相貌も窺える編集になっている。
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YOSHINORI HENGUCHI (辺口芳典)”LIZARD TELEPATHY FOX TELEPATHY (トカゲのテレパシー キツネのテレパシー)” Chin Music Press,Seattle
(David Michael Ramirez Ⅱの英訳によるバイリンガル詩集)
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