2015年4月14日火曜日

小笠原鳥類『夢と幻想と出鱈目の生物学評論集』(archaeopteryx刊)

 本書は1977年生まれの詩人・小笠原鳥類(おがさわらちょうるい)の最高の傑作であることと、最低の駄作であることとが矛盾も背反もなしにある、抱腹絶倒のテキストである。「評論集」と銘打たれてはいるものの、ふつうこれは散文詩集として受容されているようだ。私ももちろん詩集として読んだわけであるが、好きなように受けとればいい。

鳥類氏は思春期頃?から手書きではなくキーボードで文章を書く、それも思考が途切れなくするためにそうしているのだと、いつぞやどこぞで読んだ記憶がある。

その書記法からみるとするならば、リズミカルで文字通りデタラメなオートマティスムであり、それをこのように気負いも衒いもなく成し遂げるのは、やはりというか、さすがである。

よく小笠原鳥類の出現により、それ以後の現代詩にひとつのエポックが訪れたといわれるが、「新しい詩人」として彼自身も含めて売り出されたゼロ年代詩の表現主義的傾向からも異なるような気がするのだが、単なる気のせいかもしれない。
ともあれ、腸がよじれるほどの目に遭わされたのだから、これが鳥類詩集のなかでもっとも好きな一冊になった。
その置き場所はまだ定まっていないが、当分の間はなにはなくとも枕元が定位置になりそうな気配である。




◆小笠原鳥類『夢と幻想と出鱈目の生物学評論集』(2015年2月,archaeopteryx刊)
(amazonなどで取り扱いがあるようです)

ブログ 「×小笠原鳥類」http://tomo-dati.jugem.jp/





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