「たまおくりのはて」
柳花簾(りゅうかれん)の奥まったところ、マッチで象られた金魚が底を這うように泳ぐ二つの水槽のガラス壁を、二つともどもに映像を透過させるインスタレーション。立てられた一本のマッチに、火のついた別のマッチが寄せられ、接がれるように火が点(とも)される。
さかんに炎が上がるのはほんの一瞬だけ。
映像は、その一本のマッチが燃え尽きるまでの束の間。
水に棲まう金魚と、短く細い軸木に点るマッチの火。
遠い二者を結ぶものとしてのマッチが、
大切な人の思い出を喚び醒ますよすがに・・・
うつくしさと、はかなかさと・・・
「泡沫の目合い(みつぼのまぐわい)」
ひんやりとした空気が流れている。
「たまおくりのはて -なれのはて-」
西嶋さんが金魚の群れを刷るときの版木は、長年、様々な作品の版として反復的に使われているのは周知のことであるが、反復される金魚の姿のみならず、西嶋さんの行為それ自体もまた、私たちを惹き付けてやまない魅力の源である。
洞泉寺町の町家、古い箪笥の抽斗のなか。
※西嶋さんは、以上のほか、カフェ・さくら舎でも展示している。
※「たまおくり」(魂送・霊送)とは、盂蘭盆(うらぼん)で祀った死者の霊を陰暦7月16日の夜に火を焚いて送りかえすこと。◆奈良・町家の芸術祭 はならぁと2014 郡山城下町 2014.11.7-11.16
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