伊吹拓「終わらない絵」(木津川アート2014,NTT)
眺めるというより、絵の前に心身を晒しているような心地になる。
理性的な思惟にまつわる語彙も、理性によっては捉えきれない情念や感性にまつわる語彙も、立ち現れた途端になにかがすり抜けてゆく。
しかしそれで終わるわけではない。
たとえ書き付けることができたとしても、それは表象できないものの輪郭をなぞるような言葉にしかならないのだが、やはりそこで終るわけではない。
また、絵とはまったく関係のない想念をもったまま絵の前に立ったとしても、絵は感性的なあらゆるものに作用して、絵がない場所にあってはありえない展開を、想念にもたらすことだろう。
・・・などと考えていると取り留めがなくなってくる。
伊吹の絵に面したり、絵のことを思い出すと、いつも言語を統御する力が緩んでしまうのだ。
それは落ち着きとしかいいようのない境地へと、心が到りついていることと関係があるらしい。
そのとき、私の脳や感覚器官はどのような状態にあるのだろうか。とても興味深い。
"言葉を拒絶する絵"とでもいうしかない、抽象絵画がここに。
◆木津川アート2014 11.2-11.15
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