しかし、そこには様々な立場の人々が様々なものを賭けているのだ。だからこそ、そこに立ち会うことには大きな意義があるように思える。
以下は、オープニングイベントが開催されたおふさ観音での安藤栄作さんの展示風景。すべて木彫作品。
茶室。この写真ではわかりにくいが、どれも湿り気のある質感に生々しさを感じた。生木のうちに彫り始めたもののようだ。だが、どれもまだ自然乾燥の途中で、右側の顔を模した作品の目のあたりに入っているひび割れも偶然のものなのだと。しかし、涙を流しているかのようにひび割れたこの顔は、偶然にしてはあまりにももの悲しい。まるでこの偶像が、世界中の哀しみを背負ってゆく宿命を負わされたものであるかのように。それなら、まさにその身に災厄を背負い祓う形代(かたしろ)であってほしいという感情が湧き起こる。
津波に家も作品も道具も流され、奈良に移住してきた安藤さんがこれらの作品に込めているのは、3.11以後、和解の時代が始まることへの祈りなのだと。
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