2011年10月10日月曜日

原田要 (HANARART/八木・JR畝傍駅貴賓室)

畝傍駅貴賓室は天皇制ファシズムの嵐が吹き荒れる1940年、いわゆる皇紀2600年(『日本書紀』神武即位の年を機械的に西暦に置き換え、そこから算えて2600年という意)に合わせて竣工したもので、東京駅からお召し列車に乗ってはるばるやってきた天皇が橿原神宮(被差別部落を強制移転させるなどして明治国家が建設)と畝傍陵(神武を葬ったことにしている築山)に参拝する際の休憩所としてつくられた。だが、最後に使われたのは1959年、現在の天皇が皇太子時代に美智子妃との結婚を先祖(つまりは神武)に報告しにやってきた時が最後だという。
以来、ここは開かずの間となり、今は年に一度だけ公開されている。


そんな曰く付きの部屋で展示されている原田要の作品は、朽ち木に生えるキノコのような、あるいは熱帯雨林に咲く臭くて巨大な花のような、異様な風采の木彫である。
それが、やたら豪華でありながら年月を経る中でカビを纏ってしまったこの部屋との相性を、いいものにしているように思えた。




見ていると中央に穿たれた穴に吸い込まれていきそうな錯覚に陥る。

まったく違和感のない佇まい。これはテーブルか。

奥の貴賓席を臨む。



入り口扉の立派なちょうつがい。まさに蝶を連想させる。





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